中村均一 

〜八戸でみたゆめ project〜

中村均一 

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八戸でみたゆめ2019ツアー gallery

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中村は 2年前の夏2017年青森県八戸にて大動脈解離を発症してこの八戸市民病院で15時間半の手術の後、奇跡的に一命を取り止めました。私にとっては奇跡ですがそれはこの病院のドクターや看護師の皆さま、リハビリの先生が一丸となって私を必死の思いで助けて頂いたからだと思います。

目が醒めると手術から一週間が経過しており、その間の記憶は全く無いのですが、目が醒めてすぐの絶望を味わいながらも八戸市立市民病院の素晴らしい処置と献身的な介護やリハビリにより1ヶ月で退院する事が出来ました。病院は毎日のようにDr.ヘリが発着し、テレビなどのメディアに何度も取り上げられている病院ですが、何より患者の事を自分の家族の事の様に思って対応してくれるドクターや看護師の皆様が本当に素晴らしい。

退院する時にドクターは「ぜひ元気になってここに帰って来て演奏をしてください」と仰ってくださったので、私は「復帰出来るかは判りませんが演奏出来るようになったら必ずお礼に演奏をさせていただきます」と約束をしました。
そしてこうして復帰出来た今、ここまで来るのに東京では大変な思いをする事になりましたが、こうしてこの病院に帰って来て演奏をさせて頂くことになり、その感謝の気持ちを込めてCDの制作をいたしました。
CDには入院中の幻聴や幻覚の不思議な体験や病院の皆さまの一人一人とのエピソードをそれぞれの曲に想い描いて心を込めて録音をさせていただきました。
この日お聴きいただいてお気に召していただいた皆さまにはプレゼントさせて頂きました。多くの皆さまが列を作ってくださり、お一人づつお話しをさせて頂いて逆に励まされる思いでした。

私は復帰出来たからもしかしたら自慢の様に取られてしまうかもと心配を少しありましたが「自分の努力なんぞまだまだ足りない、もっと頑張ろうと勇気を頂いた」とお言葉を頂いて胸を撫で下ろしました。プレゼントなのですが何人かは是非お金を払わせて欲しいとご自分が大変なのに無理矢理渡されてしまい八戸の方々の優しさには感無量です。

10月6日には街中の天聖寺さまでチャリティーの演奏会をさせて頂きます。
北海道ではすでに3ヶ所でこの「八戸でみたゆめ」コンサートを開催致しました。
CDでは募金をして頂き、コンサートの収益は全て心臓医療や救急医療団体に寄付いたします。私の周りで同じような病気やニュースが多く増えているのを感じていて私の様にすぐにでも助けを必要としている人がいるからです。
そしてこれからも音楽を通して病気や手術に不安を持っている人や、心が疲れている人に少しでも気持ちを和らげていただいたり、命の尊さを伝える演奏会をさせて頂きたいと考えています。
この輪が広がる事を願っています。

中村均一
奈良・天理公演 陽気ホール

奈良・天理公演 陽気ホール

「青少年劇場」 西吉野小学校公演の記事

美しくて楽しくて

http://www.gojoed.jp/blog/nysho/2020/11/post-8461.html

手紙

世界一の八戸市立市民病院の皆さま


中村均です。

一ヶ月の間お世話になりまして、本当にありがとうございます。

退院の日が調度土曜日でしたので、お世話になりました皆さまにご挨拶が出来無くて申し訳ございません。

いきなりの発症にもかかわらず緊急で15時間以上の手術をしてくださった河原井先生をはじめ、16名で24時間体制のチームを組んで命を救ってくださった看護師の皆さまには本当にいくら感謝をしても感謝しきれません。この八戸市立市民病院で無ければ私は助からなかったことと思います。


手術が始まる前にO先生から「中村さん!これから手術を始めます。一緒に頑張りましょう。」とお声をかけていただきました。

目が覚めて元気になってからは看護師さんやリハビリのS先生からも「ホントオ〜に良かったですね。先生だけでなく中村さんも頑張ったんですよ。」と仰って頂いて、この頂いた命をこれからは改めて自分が頑張って大切にしなければ助けて頂いた皆さまに申し訳ないという気持ちになりました


東京の病院では若い先生に「よく死ななかったですねえ。」とサラッと言われ、この違いは何だろうと驚きましたが、患者の事を第一に考え、思いやりや愛情に溢れる皆さまの病院は世界一素晴らしい病院だと思います。


これからは毎日が特別な日と思うことにします。だから一日一日を精一杯生きる。

ICUから個室へ移動した日、私は大変落ち込み悩みました。

これまで楽譜を見れば何でも吹けると思っていた自分が急に何も出来なくなって、そんな自分が情けなくなり滑稽でこれからの人生が不安でたまりませんでした。

私の仕事は本当に楽しく、良い仲間に恵まれ、少し運動不足ではありましたが。


看護師のNさんは本当に頭の回転が速く、説明や会話の対応が的確で気持ちが良いくらい。そんなNさんのお仕事ぶりを目の当たりにして、自分の情け無い状態と比べた時「何が違っていたのだろう?」と相談をさせて頂きました。Nさんはご自分の言葉で的確で思いやりに溢れる厳しい言葉をおっしゃって頂きました。


Hさんには夜私のお腹の具合が悪くなり4回も大変なお世話をかけました。

何度もナースコールをしても決して嫌な顔もせず

排泄は決して不浄のものでは無く、生命活動である事。そして水分や栄養を摂って清潔を保つ事は本当に気持ちがよく、それは身体だけでなく心を安らげることを教えて頂きました。


Nさんのシャンプーと身体拭きは人生で一度も味わったことの無い快感です。その無駄の無い動きは神聖な儀式のようでもあり、ルーティーンは大袈裟では無く神々しい神聖な感動があり、きっとこれからも一生忘れられ無いと思います。


Kさんは只の患者の一人である私が助かってポロポロ泣いてくれました。

私自身の記憶が無い期間それほど大変な状況を皆さんで必死に助けてくださったのでしょう。


八戸の病院とお寺でコンサートした後になってその新聞記事を見て当時緊急手術に担当をしてくださった看護師のMさんからメールを頂いて当時の大変な状況を教えて頂きました。Mさんも新聞を読んで泣いてくださったそうです。


明日人生を終わらせる病に倒れるかもしれない。

人生は予想のつかないドラマに溢れ、ビックリする事も起きます。八戸の街は静かで平和で天国ですが、私のような経験をするとオセロや人生ゲームの様に思うことがあります。その中で皆さまに頂きました思いやりや愛は唯一のご褒美かもしれません。


私にとっては人生で最大の困難でしたが、皆さまに出会い、経験した事は一生の宝物です。

この大変な病気が無ければ良いことの意味も判らないまま過ごしていたかも知れません。

心からお礼を申し上げます。

ありがとうございます。




もし誰かに愛されているのなら、どんなに厳しい状況でもあなたを手放す事はないでしょう。

これからも全ての皆さまに愛される音楽を奏でる事が出来れば嬉しいです。


人生は良い時もあれば悪い時もあるのが幸せなのですね。

Mさんからのメール

初めまして。ではないのですが、何だか変な感じです。こんにちは。

私達手術室の事は、患者さん達はほとんど記憶がないそうです。意識がなかったり、緊張だったり。中村さんは、意識があったので挨拶しました。

中村さんの時は、季節もあるのか毎日心臓手術をしていました。手術には心臓外科ドクター、麻酔科ドクター、工学師、看護師で14人位いました。最初、来た時は名前が中村均さんでした。急いで運ばれて来たからだと思います。手術後はなかなか目覚めなくて、毎日ICUに行き、目が覚めてホッとしたのも束の間。重い麻痺が発生してしまったので、とても気になっていた患者さんでした。地元の方ではなく、演奏者だという情報は手術の時に知っていたので、どうしようかと思いました。ドクターとも話し合いました。

私達手術室スタッフは昼夜休日関係なく、緊急手術が入ると招集されます。心臓だけは決まったスタッフしか入りません。遠征先で呼び出される事もあります。緊急性が高い程ドクターもピリピリし、罵声が飛び交います。言われ続けると、こちらも腐る時もあります。すみません、愚痴りました。

手術室は病院内では完全に離れ孤島で、外の情報が入りません。関係者しか状況がわかりません。なので、中村さんが病院内で演奏した事も全く知りませんでした。ドクターも教えてくれません!病院の記事が新聞に載っていると言われ読んだら、中村さんだったんです!!この時の衝撃といったら、朝から涙が止まりませんでした。

昨年、娘が吹奏楽部に入部し佐藤久美子コーチに教えられています。コーチがサックスの演奏会に行くと言っていたのを思い出して声をかけたところ、中村さんでした。本当に偶然の偶然です。指が十分動いていた事、前と変わらず素晴らしい演奏だったという事を聞いて、ずっと心にあった物があふれました。本当に、リハビリを頑張ったんですね。本当にありがとうございます。

私達は、目覚めてどんな状態か、手術の影響は無いかを判断して関わりが終了します。患者さんが良くなって退院する姿を見る事が出来ません。やりきれなくなる事の方が多いですが、たまにこんな嬉しい事があるから毎日続けられるんだと思います。

大変遅くなりましたが、メールをいただきありがとうございました。長々すみません。季節の変わり目が気をつけないといけないそうです。まだまだ寒いので、くれぐれもお身体に気をつけて下さい。ありがとうございました。


わが校のサックスも、頑張っています。

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